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漢方耳寄り講座 第10回 秋の行楽と尿トラブル


  各地から紅葉のたよりも届きはじめ、休日を利用してちょっと遠出という方も多いのではないでしょうか。
 ただでさえ週末は道路が混雑するのに、最近は高速千円ということもあって、行楽地へ向かう高速道路は激しい渋滞が起きているようです。
 なかなか車が前に進まない、パーキングエリアでもトイレは長蛇の列、さっきすませたのにまたトイレに行きたい、など、尿のトラブルをお持ちの方には、この行楽シーズン特有の大渋滞は悩ましい問題でもあります。

 漢方で考える尿のトラブルにはさまざまなタイプがありますが、そのうちの1つは、年齢とともに足腰が弱くなり、手足が冷え、トイレが近かったり、すっきりしなかったりという、「腎虚」という状態です。
「腎」は水分の排泄や、生殖活動、膝や腰などと関係があり、年齢とともにどうしても機能が衰えやすい臓器のひとつとされています。腎が衰えると上述の尿に関するトラブルや、足腰のだるさ、痛さなどがあらわれます。ほかにほてりや寝汗などが顕著な場合は「腎陰虚」といい、逆に冷えや下痢などがある場合は「腎陽虚」となります。
冷えが強いタイプの「腎陽虚」によく使われる漢方薬が「八味地黄丸」です。体の内部、深いところにある「腎」を温める生薬(ケイヒ、ブシ)が入っており、体の内側から冷えを取り除き、腎に関係のあるさまざまな症状を改善してくれるお薬です。
とくにこれから冷えが気になる季節。もし思い当たる症状がありましたら専門家にご相談の上いちどお試し下さい。

 
担当:川村

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